重塗胡粉かさねぬりごふん仕上げ

1、切り出し
頭職人が、切り出し(彫刻刀)で、目、鼻、口の輪郭を鮮明にし、はっきりとした表情を表現します。(義眼タイプの場合)
目、鼻、口の輪郭を切り出すことで、上塗り工程で表情がぼけないようにします。

2、上塗り
頭職人が、薄い胡粉を丹念に3~4回塗り重ねることで、自然な肌の質感を表現させています。
ハケで塗ることで、切り出した部分の胡粉の「まり」を取り除くことができます。

3、毛書き
頭職人が、生え際、まゆ毛、まつ毛、口紅など全て一人で仕上げ、美しい表情を表現します。

4、髪の毛
結髪職人が、絹糸を使うことにより、落ち着いた品のある(テカリを抑えた)髪質を表現しています。
しっとりとした自然な風合いを髪に出すことによって人形の表情も、全体のたたずまいもごく自然で落ち着いたものになります。


人形専門店橋本屋ではこのような職人仕上げのお顔を中心に取り扱っています。(胡粉とは貝殻の粉をにかわに混ぜた伝統的な素材です。)口の中奥の方まで深く彫刻し、歯や舌を入れ(口開きの場合)、頬やあごも立体感があり暖かみのある顔立ちです。

手間のかかる分一般品に比べ幾分お値段も高くなりますが、味わいのある飽きのこないおひなさまがお求めになれます。

重塗胡粉仕上はいわゆる伝統的技法である練頭(ねりがしら)とは異なります。練頭は内部の素材に桐の粉を糊で固めた桐塑を使っていますが、重塗胡粉仕上は素材に石膏を主成分としたヒビ割れしない素材を使っています。

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