結び紐のない式正冠

平安時代に宮廷内で用いられた正式な冠の着け方です。

冠の内部は、右の写真のようになっています。髻(もとどり、いわゆるチョンマゲ)を冠の巾子(こじ、冠の後ろに高くそびえる部分)に入れ、左右から簪(かんざし)を差し貫いて固定しております。簪は笄(こうがい)とも呼びます。
余分な取り付紐がありませんのでお顔が前後で分断されずすっきりときれいに見えます。また一番の見せ場である胸元に大きな結び房が下がることがなく、全体の造形をもいっそう美しく表現します。
単に冠を接着剤で接着してあるのではなく、実際に写真のような構造にしてあります。この方式で冠を固定するためには、頭の大きさと冠の大きさ、冠の形とマゲの位置、巾子の差込穴とマゲの穴の位置、を正確に合わせる必要があり、頭師・結髪師・冠の作者が三位一体とならなければ絶対に不可能な取り付け方法です。デッサンに基づく当工房のおひな様だからこそできる細部へのこだわりです。

式正冠は、
お顔と衣裳がすっきり見えます。ちなみに冠の後ろに立つ纓(えい)は、頭巾の結び目から伸びる2枚の布が形を変化させたものなので2枚が正式です。
一般的な冠は、
既製品の冠を使用するために取り付紐が必要になります。

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