親王の位置

現代のお雛様の写真を見ると多くが向かって左に男雛、向かって右に女雛を配置しています。(飾り方の説明書などもそうなっています)ところがお店の陳列、地域によって反対の場合を時々見かけます。どちらが本当なのでしょうか。

実はどちらも本当なのです。

「天子南面」という言葉があります。古来より日本では南に向いたときに日の出の方角(東=つまり左手)が上座、反対に日没の方角(西=右手)が下座とされてきました。

雛人形も例外ではなく、本来は左(向かって右)に男雛を、右(向かって左)に女雛を配置することが当然のこととして昔は飾っていました。ところが、昭和三年に天皇の即位式が行われたときに(国際基準に合わせて)位置が逆転し、雛人形の位置も反対になったと思われます。江戸時代などの古い雛人形は、当時の配置のままで飾るのが本来の姿という考え方から、博物館などでは男雛を左(向かって右)、女雛を右(向かって左)に飾っています。また伝統を重んじる地域でもそうしているところがあります。
面白いことに、七段飾りの随身(左大臣・右大臣)は、「老」を上座である向かって右に「若」を下座である向かって左に配置するのは昔のままです。
皇室の並び方が昔の形式に戻れば、ひな人形の配置もまた、本来の姿に返るかもしれません。

現在の皇室の行事と同じように並べたいのであれば向かって左に殿を、日本古来の伝統の並べ方をしたいということでしたら写真のように向かって右に殿を置けばよいのです。