大鎧は馬上にて弓を射るのに合理的に出来ています。胴正面には弓を持ち矢を放ったときに弓の弦が引っかからないように文字どおり弦走韋が必ず張られています。また弦走韋の下部は、繰締緒(くりしめのお)という細くて丈夫な組み紐です。これも引っかからないための工夫です。
写真は不動明王と二童子像で鎌倉時代に多く用いられた意匠です。時代によって流行があり、平安時代末期頃は菱襷文なども用いられ、獅子と牡丹などもあります。
弦走韋の内側は組み紐が編まれています。弦走韋の素材は鹿の吟と呼ばれるなめし皮(韋の漢字を当てます)です。鹿韋は繊維が細かく非常に強靭であるにもかかわらず通気性があるので、昔から武具に多く用いられました。
節句に用いられる鎧に弦走韋が装備されているのはごくわずかで、通常は参考写真のように房などが付いています。